答え
ラスター データの格納と管理には多様なアプローチがあり、各アプローチがさまざまなメリットとデメリットを提供しています。 使用するのに最適なアプローチは、当該のニーズやラスター データによって異なります。
ラスター データ格納に対するアプローチを選択する場合に考慮されるいくつかの注意事項と目的は次のとおりです。
- データへのアクセシビリティ
- データのサイズ
- データの機能性
データへのアクセシビリティ
ラスター データへのアクセス権が必要なユーザーの数で、データを格納するために使用するジオデータベースのタイプが決まります。
パーソナル ジオデータベースまたはファイル ジオデータベースは、格納されるデータのサイズに応じて、シングル ユーザーまたは書き手が 1 人だけの小さなワークグループによく適しています。 こうしたデータは、読み手が数人のデータに対する UNC パスを使用して、共有のネットワーク ドライブ内にホストできます。 サーバー上にホストされる
エンタープライズ ジオデータベースは、書き込み権限を持つユーザーが多数存在し、それらのユーザーがデータにアクセスして修正する必要がある場合に使用されます。
ラスター データの格納に対する異なるタイプのジオデータベースの比較については、「
ラスター データの格納方法と管理方法」をご参照ください。
データのアクセシビリティが重要な要因でない場合には、従来のフォルダー ベースのアプローチを使用します。 詳細については、「
ラスター データをジオデータベースに読み込む必要がありますか?」をご参照ください。
データのサイズ
データのサイズによって、圧縮方法や使用するジオデータベースのタイプ (必要な場合) などが決まります。 ジオデータベースの各タイプにはデータ格納サイズの制限があり、最も小さいのはパーソナル ジオデータベースで、最も大きいのはエンタープライズ ジオデータベースです。
ラスター データのサイズは圧縮によって縮小できますが、圧縮によってピクセル値が変更されると、データの精度も低下してしまいます。 ラスター データのサイズと精度のトレードオフのバランスをとる場合には、
可逆圧縮なのか
非可逆圧縮なのかを考慮します。 データ解析を行う場合は可逆圧縮をお勧めしますが、高い精度を必要としない表示のためにデータセットの生成にかかる時間を短縮するには、非可逆圧縮が役立ちます。
可逆圧縮と非可逆圧縮の詳細と比較については、「
ラスターの圧縮」をご参照ください。
注意:
ラスター データをクラウドに格納する場合には、Limited Error Raster Compression (LERC) という別の圧縮タイプを使用できます。 この圧縮タイプの詳細については、「大容量の画像とラスターのクラウドへの保存」をご参照ください。
圧縮以外にも、ラスター データセットのサイズはダウンサンプリングによって縮小することもできます。 ダウンサンプリングしたデータは、表示速度やパフォーマンスの向上に使用されます。 ダウンサンプリングを使用することで、元のデータセットの 2 ~ 10 パーセントのサイズのデータセットが作成されます。
詳細については、「
ラスター データの格納方法と管理方法」の「
圧縮、ピラミッド、タイル サイズ」をご参照ください。
データの機能性
ラスター データのパフォーマンスとポータビリティのどちらを優先するのかを判断することも、必要なラスター データ格納モデルを決定する場合のもう 1 つの要因となります。 ポータビリティを優先する場合は、最も基本的なデータ格納モデルであるラスター データセットを使用して、ディスクまたはジオデータベースに格納する方が適しています。 ラスター データセットは、すばやく表示する場合や、修正頻度の低い大規模なラスター データに対して役立ちます。
モザイク データセットはパフォーマンスを向上させます。特に、ラスター データに対するクエリ、メタデータの保存、ラスター データのオーバーラップが行われると考えられる場合に有効です。
ラスター データセットとモザイク データセットの詳細と比較については、「
ラスター データの格納モデルの比較」をご参照ください。